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2006年7月20日 (木)

パソコンの使い方っていう哲学

Microsoft Private Folder 1.0の提供を中止へ

そんな製品あったんですねえ。知りませんでした。
中止の原因としては、パスワードを忘れたユーザーがファイルを復元できなくなる問題が多発したからっていうことで、ちょっと笑えますね。

しかし、ひとしきり笑った後よく考えてみると、この中止への流れはとても興味深いです。パソコンを使う人のモラルっていうかそういうのに関連してね。

ネタ元のスラッシュドットでもけっこう議論になってますが、普及しなかった原因として「正直につくったMicrosoftが悪いのか?パスワードを忘れたユーザーが悪いのか?」こいつはけっこう根深い問題だと思います。

はっきり言って結論の出ない問題なんですけどね。
でも、様々な立場からこの検討をしていくと面白い意見がたくさん出てきそうです。さて、ボクの立場でどっちにつく?って言われると・・・
そうですねー、「パスワードを忘れたユーザーが悪い」に一票でしょうか。

「フォルダにパスワードってかけられへん?人に見られたくない資料をそん中に保存しときたいねん。」社内SEなんかをやってると、こういう問い合わせはけっこう来るもんなんです。システムとかの知識に疎いけどよくパソコン使ってる部署からくる傾向があります。

「いや、それは無理ですねん。ワードやエクセルなら個別にパスワードつけて管理してもらえまっか?」だいたいボクはこう答えてました。

MPFなんか導入しなくても、共有フォルダのアクセスユーザとかを操作して、ある程度要望に近いことは実現できます。しかし、例えば異動が激しい部門の場合は、しょっちゅう権限の操作を行わないといけなくなるかもしれません。ただでさえ他のことに忙しいのにこういう作業が割ってはいると、まことに精神衛生上よくないですね。

それに、こういうことをやると決まって毎日のように内線がかかってきます。
「あのフォルダのパスワードなんやったっけ??」

他のトラブル抱えてるときにはほんとキレそうになる電話ですよ。
そういうリスクを想定すると、作成者の責任でファイル単位に保護かけてもらってたほうがわかりやすくていいです。「あんたのかけたパスワードなんざ知りまへんわ!」と逆ギレできます。

「そんなん言うても、不便やん。パソコンを便利に使えるようにすんのがSEの仕事やろ?ちゃんとやってや~。」とヤカられることもありますがね。

「そうは言うてもなんかあったときに対応に四苦八苦するのはワシらでっせ。最悪元に戻らんときもある。そういうことまで考えたら、安全なのはこっちですねん。協力してくださいや。」

こういうやりとりができるかできないかっていうところも、SEとして幸せになれるかどうかの分かれ道だと思います。

ちょいと話が脇にそれかけてるんで戻しますが、要はなんでもパスワードをかければええというわけではありません。ひいては、なんでもパソコンがやってくれるわけではない。人間のダメな部分をパソコンが完璧にサポートしてくれる、なんて幻想は抱いてはいけないということです。ただの計算機ですよ。パソコンは。

MPFにしろ、配布を中止せずにパスワードを忘れた際の対策を採ったほうがよかったのでしょうか?『パスワードを忘れたときは、裏コマンドを打てば解除できる』、『パスワードを忘れたときのパスワードを設定する』こんな仕様は不毛ですよね。

「パスワードなんて大事なもん、そうそう忘れるかいな」と言っている人ほど、パスワード忘れたといって泣きついてきます。コンピュータに関わる仕事をやっていると、人に対してそういう安易な信用はできなくなってきます。常に「万が一」を想定してシステムの処理はつくられるのであって、そういう対策がされているからこそ、普通に処理が動くものなんです。

しかし、そういう対策にも限界はあります。今回のMPFのケースはその対策の限界を見極めて潔く公開を中止したMicrosoftを評価したいですね。まあ、なんしか対策して継続してもたいした商売にならないってのもあったんでしょうが。

パソコンの内部で流れている処理ってのは極めて論理的なものです。
しかし、それを使う人間が論理的であるとは限りません。むしろ論理性の低い思考で使われている場合がほとんどだと思います。そういう意味では業務処理なんかを作る場合に、論理的帰結ができない場合もあるんですよね。

そこをどう論理的に落とし込めるか。つーか、どう線引きしてしまうかってのがエンジニアとしての技量だと思ってます。数式を考えるんじゃなくて、なんかの哲学について考察するような感じなんですよね。奥が深いですよ。オレ文学部出ててよかったなあ。

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